「原因のわかる腰痛は全体の約15%、ギックリ腰とは?」 part1

今回は疲労や寒さなどで増えてくる「ギックリ腰」についてお話していきます。

1.ギックリ腰とは

ギックリ腰とは、医学的用語では急性腰痛症と呼ばれています。急性腰痛症は、一回の負荷によって腰に痛みが出現し、治るまでの期間が4 週間以内の腰痛を言います。症状に対し、レントゲンやCTなどの画像では特異的な問題がみられないため、鑑別を丁寧に行う必要があります。また腰痛を来す疾患は、整形外科疾患だけでなく、内科疾患である可能性も十分に有り得るため注意が必要です。

2.ギックリ腰、腰痛の分類

 腰痛には、大きく分けて3種類の分類、筋・筋膜腰痛、関節性腰痛、靭帯性腰痛に分けられます。今回はその中でも発生頻度の多い、筋・筋膜性腰痛と関節性腰痛について詳しく説明していきます。

  • 筋、筋膜性腰痛

筋、筋膜性腰痛は、腰の筋肉や筋膜に対して急激にあるいは慢性的に負担がかかることで痛みが生じます。筋、筋膜性腰痛はレントゲン上では異常がなく、足への痛みやしびれなども起こりません。スポーツなどで腰の筋肉に急なストレスがかかった場合や不良姿勢などで慢性的に筋肉や筋膜への持続的なストレスが生じた場合に発症します。

 また、痛みが発生する動きは、前かがみの姿勢(前屈)や身体を捻る動作をした際に痛みが発生し、痛みの出る場所は腰部の片側の筋肉に痛みが発生することが多いです。

  • 関節性腰痛

関節性腰痛は更に2つに分けられます。

・椎間関節性

椎間関節は背骨の後方、左右にある小さな関節です。この関節部分にストレスがかかり、炎症が起こると、腰を伸ばす(身体を反らす)動きで痛みが発生します。また、身体を捻る動作で対側の関節部に痛みが発生することがあります。比較的ピンポイントに圧痛、痛みが出現しますが、起床時や仕事中は割合軽快する傾向にあります。下半身のしびれや感覚低下、違和感などの症状は出ることは少ないです。

・椎体間関節性 

背骨と背骨をつなぐ関節部分に椎間板というクッション作用のある円盤状の軟骨があります。椎間板は中央部に髄核というゼリー状のものがあり、それを囲むように軟骨が包んでいます。激しい運動や体重増加などにより、負荷が増すと、椎間板にかかる圧力が強くなってしまい、中にある髄核が外に押しつぶされてしまいます。このようなことによって、身体を前屈した際に腰の両側全体に重苦しい様な痛み(鈍痛)がみられることが多いです。時に下肢への痛みがでることもありますが、しびれや感覚障害などの症状は少ない傾向にあります。

3.ギックリ腰の原因

 背骨を構成している脊椎のうち、腰椎は5個の骨の積み重ねで成り立っています。骨と骨の間には、椎間板という柔らかいクッション代わりの組織があり、骨同士の衝撃を和らげています。また、腹筋と背筋などが、背骨を取り囲むようにして支えています。

 日常生活動作やスポーツ中の無理な体勢によって背筋に過剰な負担がかかる場合に発症すると言われています。急性の筋膜や筋肉損傷はいわゆる肉離れです。症状は腰椎に沿って発生する腰痛や圧痛、運動時痛です。慢性の場合は、主に使い過ぎによる疲労が原因なので症状として背筋の緊張が高まり、筋肉に沿った痛みがでます。

 スポーツ活動では、ピッチング、ジャンプ、体幹の過伸展、屈曲、回旋、中腰の姿勢から捻りを加えるなど、スポーツ全般の動作で発生します。腰に負担がかかる激しい動作に多く起こり、また前傾姿勢の保持や着地時の衝撃なども腰痛の原因となります。

4.ギックリ腰に類似する疾患

・腰椎椎間板ヘルニア

 腰椎の間にある椎間板から髄核が飛び出して神経を圧迫し、腰、臀部、下肢後面の痛み(坐骨神経痛)や足先にしびれ感などが出現します。

・腰椎分離症

 発育期(10~15歳頃)において、腰に大きな負荷がかかるスポーツ選手に多く見られます。腰椎後方の椎弓が分離(疲労骨折)しており、分離部の異常可動によって痛みが発生します。体幹を反る姿勢や身体を捻る動作をすると腰痛が増強しやすくなる。レントゲンやCTで鑑別できます。

5.当院での施術内容

 当院では、腰痛の場合、各種検査方法を行い、どの筋肉、どの関節が問題となっているかを確認したうえで施術を行っていきます。前述の通り、筋肉や関節への過負荷、不良姿勢によって腰痛が発生していきます。痛みの原因となっている部分に対しての手技やストレッチ、姿勢の改善を行っていき、症状の改善を目指していきます。また、当院では、ハイボルテージや超音波治療器といった非常に効果の高い特殊電気治療器を使用しており、手技でアプローチをすることの難しい深い組織、筋肉に対して刺激を入れて、早く痛みを軽減することができます。

6.予防法

 ギックリ腰は再発する可能性があります。再発防止や予防を積極的に行っていくことが大切です。

・無理な姿勢に気を付ける。

 ギックリ腰を引き起こした時の姿勢の多くが前屈みです。特に前屈みになる時は注意してください。そして、腰に負担がかかるような姿勢はギックリ腰を引き起こしやすいので、できるだけ腰に無理のない姿勢で過ごすようにしてください。

 例えば、床から物を拾うときや物を持ち上げる時に、必ず膝を曲げて身体全体を使って動く習慣をつけること。椅子の座り方では、背中を丸めたような姿勢で座っているのを改善すること、股関節と膝関節が90°の姿勢が一番身体への負担が少ないと言われています。普段の日常生活での姿勢について見つめ直していくことも大切です。

・運動不足の解消

 運動不足になると、体重が増加し、体の柔軟性をはじめ筋肉、組織が硬くなっていきます。その結果、ギックリ腰も引き起こしやすくなってしまいます。適度な運動をすることも予防に繋がります。また、ストレッチや身体を冷やさないなどのセルフケアも大切です。

 

原因には個人差がありますが、根本的な姿勢のバランスを整えることで、筋肉の負担や緊張を軽減することができます。

何度もギックリ腰を繰り返す方、姿勢の気になる方は、お気軽にご相談ください。

スタッフ一同心よりお待ちしております。

次回は、靭帯性腰痛についてお話していきたいと思います。

【筆者:菅原 健生】

やさしい整骨院(仙台市青葉区)

宮城県仙台市青葉区国分町3丁目11-6レジデンス27番館1F

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